鉄(=テツ、鉄道趣味人)のジャンル分け
乗り鉄 列車や路線に
乗ることを楽しむ。
旅情派 景色のいい路線などに乗って
旅を楽しむ。
車輌派 好きな形式の車輌に乗って
楽しむ。
記録派 たとえばJR全路線完乗など
記録に拘って楽しむ。
撮り鉄 列車や鉄道の
撮影を楽しむ。
鉄道情景派 美しい景色の中を走る列車や
駅などの鉄道施設と情景を合わせた
撮影を楽しむ。
車輌派 好きな形式の車輌を
撮影して楽しむ。
記録派 同じ形式の車輌全てを撮影。
ある路線の全ての駅舎を撮影など。
模型鉄 鉄道模型を楽しむ。 収集派 模型の車輌などを集めて楽しむ。
工作派 模型の車輌や情景を作って楽しむ。
走行派 鉄道模型を走らせて楽しむ。
情景派 レイアウト(=鉄道模型のジオラマ)を
作成して楽しむ。
収集鉄 鉄道に関連する
様々なものを
集めて楽しむ。
鉄道模型、鉄道の部品や駅名板など。
駅弁の包み紙や鉄道関連商品などを
集める。
時刻表鉄 時刻表を楽しむ。 読む派 時刻表を読み、列車ダイヤや料金、
列車編成の様子を読んで楽しむ。
空想旅行派 時刻表のダイヤで空想旅行を楽しむ。
妄想派 架空の列車ダイヤを
妄想して楽しむ。
地歴鉄 鉄道地図や
鉄道の歴史を
楽しむ。
地理派 鉄道路線地図を楽しむ。
歴史派 鉄道会社や路線、
車輌などの歴史を楽しむ。
しくみ鉄 鉄道の仕組や
走行の仕組を
調べて
理解して楽しむ。
工学派 鉄道の機械的な仕組や、
電気的な仕組を楽しむ。
物理派 加速減速や
車輪とレールの摩擦、
空気抵抗など

物理的側面を楽しむ。

一口に「鉄道趣味」と言っても、
その楽しみ方は人それぞれで、様々な楽しみ方があります。
勿論、決まった形などはなく、あなたが「これだ!」と思ったことを
楽しめばいいのですが
ここではその楽しみ方の色々をお話しし、
鉄道趣味の奥の深さを感じていただけたらと思います。

まず、あなたが
鉄道に少し興味を持ち始めたとき
鉄道の「なに」に心を惹かれたのでしょうか?

「鉄(=テツ、鉄道趣味人)」の中には

「列車に乗るのが好き」という方(乗りテツ)、
「鉄道写真を撮るのが好き」という方(撮りテツ)
「鉄道模型が好き」な方(模型テツ)
など、いろいろなタイプの方がいます。
そしてそれらのジャンルを
いくつか組み合わせて楽しんでいる方が多いようです。


筆者が鉄道に興味を持ち始めたのは幼少期の夏。
東京駅から逗子駅まで乗った横須賀線の電車でした。

当時はまだ、「東京地下駅」は総武線側から開通したばかりで
横須賀線の電車は、地上の東海道線ホームから発着。
東海道線と同じ線路を大船まで走っていました。
東海道線や寝台特急、新幹線が行きかう東京駅地上ホームに
横付けされた横須賀線の113系電車。
当時一般家庭にはまだ普及していなかった冷房装置を屋根に載せ、
爽やかな青と白の「横須賀色」を輝かせていました。
ボックスシートの快適な座席から見る車窓。
都会から郊外、そして海べりの町へと移り変わる車窓に
筆者はすっかり魅了されてしまいました。

また、帰りの逗子駅で電車を増結しているシーン。
11両編成の電車の後ろに、4両編成の電車がゆっくりと近づき、連結。
係の人が線路に下りて手際よく貫通扉を開閉し、渡り板や幌を組み立て、
1本の列車に仕立てていきます。
運転席同士の連結面のカッコイイこと!
そしておもむろにドアが開き、冷房の効いた車内に一番乗りで入っていく。

そんな体験から、
筆者の鉄道趣味の始まりは「乗り鉄」。
今でも「列車に乗ること」を大きな楽しみとしています。

そして「横須賀線の(113系という型式の)電車」に対する興味が
模型や撮影の動機になっていきました。

これが、筆者の「鉄 ことはじめ」です。

ここで
筆者が勝手に鉄道趣味の分類分けをしてみました。
鉄道趣味には色々な楽しみ方があるということを
感じていただけたら幸いです。

「鉄道趣味の楽しみ方色々」

「乗り鉄」の習性いろいろ

「列車に乗ることを楽しむ」という
もっとも基本的かつわかりやすい鉄道趣味のカタチ。

進行方向に向いた窓際の座席に座り、
景色をのんびり眺めながら、
缶ビール片手に、駅弁をつまみ・・・
鉄道好きでなくても「いいなあ」と思う情景ですよね?

そしてだんだんと「乗り鉄」にハマっていくと
列車に乗ることが楽しくて楽しくて、居ても立っても居られなくなります。
これホント!笑
そうなってくると、
「列車に乗るためにどこかへ出かけよう!」
なんて思うようになります。

「どこかにいくから列車に乗る」のではなく
「列車に乗るためにどこかへ行く」
という本末転倒な旅をすることもあります。

「はくたか」に乗りたいから富山、金沢へ。
「わかしお」に乗りたいから安房鴨川へ。
「スーパー白鳥」に乗りたいから函館へ。

乗りたい列車が行先を決めるフシギな旅です。

乗り鉄は、基本的にその列車の始発駅から終着駅まで乗りたがります。
そしてたとえ指定券をとっていても始発駅には1時間以上前に行く。
自分が乗る列車が表示されている電光掲示板を撮影するなどして
気持ちを高め、列車の入線を待ちます。
列車がホームに入ってくれば、
列車の前から後ろまで眺めて歩き、勿論撮影もします。
特に列車の最前部や最後部の「顔」や
「能登」などと書かれたヘッドマーク。
乗車口わきの「急行能登 金沢行」などの表示も
もれなくチェック&撮影!
指定席だから、座席に座るのは発車数分前でいいのです。笑
(乗りそびれんなよ!笑)

車内に入ると、車内も入念に「探検」
列車をして遊園地のアトラクション気分です。笑

「録り鉄」癖のある方は
ここでマイクをセットします。
これは、よくありますよね?
ほら、始発駅である長〜い車内放送。
あれを録音するためです。

「ご乗車ありがとうございます。急行能登号、金沢行です。
上野を出ますと大宮、熊谷、高崎、直江津、糸魚川、
泊、入善、黒部、魚津、滑川、富山、小杉、高岡、
石動(いするぎ)、津幡、終点金沢の順に停まります。
編成は9両です・・・」

このアナウンス。旅情がわくんですよね〜
私はビデオで車窓とともに撮影しました。笑


上記の「能登号」は夜行列車でしたので、
車窓の景色は夜が明けてから堪能しましたが
それでも上野を出て都会の夜景、そしてだんだんと郊外、
山間部へと入っていく夜景を楽しみながらの旅でした。

終着駅までの楽しみ方は人それぞれですが、
たいていの「乗り鉄」は、
カタンコトンというレールの響きに耳を澄まし、
時折通過する駅の風情、流れる車窓、
反対車線の線路、すれ違う列車を眺め、
飲み物や食べ物をつまみながら列車の旅を楽しみます。

そして終着駅が近づき、列車は徐々に速度を落とします。
線路が分岐して広がり、列車はガタゴトと分岐器をこえて
大きな駅へと入っていきます。

到着前のアナウンス
「間もなく終点金沢です。お乗換えのご案内です・・・」
到着アナウンスに旅情を感じて思わずウットリ。
「遠くまできたんだなぁ」と感動します。
さて、列車は終着駅金沢のホームに入ります。
列車が停まり、ドアが開いてホームに降りると、
「一晩お世話になった列車」への感謝の気持ちを込めて
列車が車庫へ回送されるまで、観察、撮影タイムです。

他のお客さんは、ホーム中ほどの階段に向かって歩いているのに、
「乗り鉄」だけは、車両の先端部に駆け寄ります。
親子連れがわが子を前に立たせて記念撮影をしていると
撮ってあげたりします。

そうこうしているうちに列車は金沢車両基地に回送されていきました。
気づけば静かなホームには自分と、おんなじような乗り鉄が数名だけ。
急行「能登」で金沢に降り立った多くの方々は
とっくにそれぞれの目的地へと消えていきました。
観光をする人、仕事や用事で来た人、
また、金沢へ帰ってきた人もいたことでしょう。

しかし「乗り鉄」は
列車に乗ることが目的なので
列車が目的地に着いたと同時に、目的を失ってしまうのです。
困ったもんだ。笑

「一人で兼六園散策するのもなあ」と
とりあえずやってきた七尾線電車に乗って七尾まで行ってみたり
福井へ出て「えちぜん鉄道」
高岡で「氷見線」、富山に戻って「富山地鉄」
せっかく金沢まで来たのに
わざわざ「次の目的地」を求めて旅立っていくのです。
困ったもんだ。笑


私の場合は、海が好きなので、
たいていは現地の海辺に行ってみます。
漁港や海辺の道の駅などを覗くと
おいしい魚に巡り合えたりして楽しいのです。

「乗り鉄」は「食べ鉄」「呑み鉄」と組み合わせることによって
より楽しくなります。
お酒飲んでも「列車旅だから安心」ってワケです。
酔っぱらってホームで転ばないように!



「乗り鉄」の中には、
ちょっとフシギな、
まるで「苦行」のような乗り方を楽しんでいる!?人たちがいます。
「JR全線乗車」や「日本の鉄道全線乗車」などという
「制覇目標」を掲げ、
それに向かってノルマを果たすかのように
せっせと乗車している人たちです。

最近では、そういう趣味人のために
路線図が白地図になっていて、乗った路線を塗りつぶしていく
なんていうシロモノが書店にも売っていたりします。
彼らはそれらを小脇に抱えてせっせと列車に乗っていくのです。

なるべく多くの路線に乗ることは
それだけ楽しみが増えそうではありますが
私には「制覇癖」が全くないので
個人的には理解できない部分があります。

特に、殺風景な工業地帯を行く路線や、
ずっとトンネルの地下鉄、
大都市の通勤路線を乗りつぶして
本当に楽しいのか?
だったら気に入った風光明媚な路線に
何回か乗ったほうが楽しいのではないか?
と思うのですが・・・
まぁ余計なお世話ですけどね。笑

彼らは「乗る」ことそのもの」よりも
「乗ったことによって塗りつぶされていく路線図」に
快感を感じているのでしょう。
戦国武将が自分の領地を広げていくような楽しさ?
「制覇」が好きな若い男性に多くみられる趣味のカタチのようです。





「撮り鉄」の習性いろいろ。


「撮り鉄」の方々を見ていると
その人のもう一つの「鉄道趣味」が見えて来ることがあります。
「鉄道写真」を極めている方は、
駅間の絶景を背景に列車の走行写真を撮ることが多いようです。
遠景や俯瞰など景色がメインで
画面の端のほうにさりげなく列車が走っている写真など。
「ああ。この方は風景写真がお好きなのだなあ」と思います。

背景に青い海や、雪をかぶった山々。
季節の花や田園風景。夜景の中の列車など。

こういった写真は、
鉄道に全く興味のない人が見ても
その景色の美しさや風景に魅了され、
受け入れてもらいやすいといえます。

自宅に写真を飾るにしても、
家族に受け入れられやすいと言えるでしょう。


また、地図を調べ、列車や徒歩、自転車、クルマなどでロケハンし、
「新しい撮影地を開拓して楽しむ」という方もいます。
最近ではグーグルアースのストリートビューなど
便利なものもあり、それらを駆使することにより
「自分だけの撮影地」で撮影した鉄道写真を眺めて一人ニンマリ
なんていう方もいます。
シアワセですね。笑



駅で停車中の列車や到着、出発する列車を撮影したり
駅構内やホームの様子等を撮影。
また、車内の座席の様子や車窓を(わざと窓枠を入れて)
撮影している方がいます。
出来上がった写真は、
見る人を「まるで列車に乗って旅している」ような
そんな気分にさせてくれます。
こういう撮影は「乗り鉄」の方に多いようです。
駅名表や乗換口の看板。
「何時何分発どこそこ行のなに号」といった電光表示さえ
しっかりオサエていたりします。

車輌の台車の様子や床下機器、屋根の配線やクーラーの形、
パンタグラフなど車輌の細部や
線路の様子、駅構内の配線、詰め所などの鉄道関連建築物を
熱心に撮影されている方がいます。
こういう方は「鉄道模型制作のための資料」として
撮影されていることが多いようで
「模型鉄」の場合が多いようです。


それから、一般の方からすると少し理解しにくい撮影をされる方もいます。
同じ形式の車両の番号違いなどを、全く同じ場所、同じ角度で
撮影し続けるというもので
たとえばどこかの車庫に所属する同じ形式の番号違いをすべて撮影する
というもの。
端から見れば「全く同じ(ように見える)写真」が果てしなく並んでいて
本人はその「同じ(ように見える)写真群を眺めてウットリ・・・

これのどこが楽しいのか?と理解に苦しむのですが。笑
所詮趣味なんて自己満足の世界・・・笑
これも前述の「制覇」好きな若い男性に多いようです。


かくいう筆者はどうかといいますと・・・
同じ形式の「すべての番号違い」を撮影することはないのですが、
同じ形式の「番台違い」は撮影しています。
っておんなじようなもんじゃん!

113系の0番台 1000番台 1500番台など。
とはいえさすがに「同じ番台の全車両」などとは思いませんが
端から見れば「似たようなもんだ!」ですよね。
その通り!


まぁ・・・テツなんて所詮自己満足の世界・・・冷汗 笑



2014(平成26)年10月26日 アップロード
2015(平成27)年11月18日 加筆修正


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